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<<   作成日時 : 2006/10/06 22:37   >>

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いきなり脱線しますが、私には霊感がありません。いや、ないと思います。どこの誰が言い出したことか知りませんが、
 20歳までに心霊現象を目撃しないと、その人は霊感がないことが証明されたも同然なので、一生目撃することはない
のだそうです。私はこの「20歳」をとっくに過ぎましたが、これまでその種の体験をしたことはありません。

で、ここからいきなり飛躍しますが、おそらく海音寺潮五郎さんも霊感はなかったのではないかと思います。海音寺さんにも、妖怪変化というか魑魅魍魎というか、そういった得体の知れない現象を題材にとった作品がありますが、そうではなく史伝や史実に基づいた作品群に表れている海音寺さんの歴史解釈の態度からそうだろうと思うのです。その合理的・理性的な姿勢から推測するに、間違っていないと思います。

前振りが長くなりましたが、今回は『二本の銀杏』を紹介しようと思います。その内容に大きな関連があるため、霊感などという超常現象的な話題に触れました。
『二本の銀杏』は海音寺潮五郎さんが5部作『日本』として構想していた作品群の第一部です。結果的に3部までしか執筆されませんでしたが、この『二本の銀杏』は海音寺さんの代表作として必ず名前が挙がる作品でもあります。

武士でありながら山伏としての修行も修め、世間には呪術使いとしても認識されている兵道家の主人公と、その主人公に魅惑されていく女性との恋愛心理の変遷を中心に物語は展開していきますが、そこで大きな役割を果たしているのが山伏たる主人公が持つ呪術です。
男性にとっては何と!都合の良いことに、この呪術は女性を魅惑して陥れてしまう力を持っているのです。

この呪術というのは作品中での重要な構成要素になっているのですが、この手の摩訶不思議な能力の存在は、ともすれば作品を荒唐無稽なものにしかねません。読者の中にはそのように捉えている人も少なくないでしょうが、私が見るところ、海音寺さんはこの呪術を決してありもしない超常現象的なものとしては描いていません。
あまり詳述すると作品を読むときの魅力を減じてしまいますので省略しますが、私がこのように主張する理由の一端を、例えば『悪人列伝』「弓削道鏡」「平将門」に見ることができます。

「平将門」から引用して説明してみましょう。
関東地方に勢力を広げた将門が新皇として帝位につく儀式を行っていたところ、臨席していた一人の巫女が突然に神懸かり、

「私は八幡大菩薩の使者である。わが位を平将門に授けるぞ!この辞令に連著するのは右大臣菅原道真の霊魂であるぞ!!」

と絶叫したのだそうです。この事態を評して海音寺さんは、

これを将門にたいする人々の信仰をかき立てるために、誰かが細工して巫女に言わせたのだという解釈は、後世的な合理主義的解釈だ。(中略)
言うまでもなく、巫女の神がかりは一時的の発狂状態になって無意識にいろいろなことを口走る病的状態なのだが、その時のことばは無意識に発するにしても、その根柢は平生の見聞や意識下の思考にあるはずだ。この時の総社の巫女も、将門の血統の尊貴さにたいする敬意、現在の威勢のすさまじさにたいする驚嘆、菅原道真の冤死やたたりと称せられることに対する同感、それが藤原氏対天皇家の権力闘争に起因しているという認識等は、かねてから胸中に持っていたであろうから、田舎の少女には生まれてはじめて見る除目の盛儀を見て、昂奮のあまりに発揚状態になり、前掲のようなことを口走ったのは最も自然なことであろう。


と述べています。
こういった"理系的"論理に支えられた発想や歴史解釈が海音寺潮五郎さんの真骨頂ですし、ここから類推すると先に述べた「海音寺さんには霊感がない」に行き着くのです。霊感がある人なら、それなりに飛躍した解釈があるはずだと思うからです。

さて、あまり作品の本題ではない紹介になりましたが、私もこの『二本の銀杏』を読んでみて"海音寺さんの代表作"の名を背負うだけの名作だと感じました。
ただ、あまり若いうちに読んでも分からないかもしれないなと思います。一度くらい、心が張り裂けるほどの恋愛を経験してから読むと、一層味わい深く作品を楽しめることでしょう。
二本の銀杏〈上〉 (文春文庫)

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2006/10/07 11:16

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このBlogを書いているモモタです。

仕事の関係で非常に多忙になり、集中して取り組む必要のある事態に直面したため、このBlogの更新をしばらく休もうと思っています。
最低1が月はかかると思いますが、必ず再開しますので、またその際にはご愛読をよろしくお願いします。
モモタ
2006/10/06 22:40

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