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復活が続く海音寺潮五郎さんの作品群。主要な出版社の中で最も腰の重かった新潮社から『幕末動乱の男たち』が再出版されたことで、海音寺潮五郎さんの主立った作品はほぼ出そろうという喜ぶべき状態になりました。約2年前までの無惨な状況が今ではウソのようです。ここまで来ると、ファンとしての欲目もありますので、今度は逆に出版されずに残っている作品があることが不満になってきます。その最たるものが『二本の銀杏』です。 海音寺潮五郎さんは豊富な歴史知識と深い人間理解とによって、優れた作品を数多く残しており、それらの諸作品が持つ魅力は、今なお読者の心を捕らえて離さないものがあります。しかし、そんな海音寺潮五郎さんの作品のほぼ唯一の弱点ともいうべき要素を敢えて挙げるとするならば、それは作品が執筆された時期が古いということがあります。 ここ2年の間に復活した海音寺潮五郎さんの作品を見ると、その多くが史伝であることに気づきます。これは史伝というジャンルが持つ特質上、繰り返して読まれることを前提としている作品であることが復活の理由の一つなのですが、没後30年を経た海音寺潮五郎さんですから、作品が執筆された時期となると、 「今を去ること半世紀」 というものも珍しくありません。 その間の歴史研究の進展や、新史料の発見などで、海音寺潮五郎さんの史伝に書かれている内容が全く覆されるという事態が起こらないとも限らず、実際にそういう事例もあるかもしれません。 そのことがそのまま、海音寺潮五郎さんの史伝の価値を低下させるものではありませんが、 歴史の真実をつたえ、それを人々の知識として結縁させる という海音寺潮五郎さんの作品執筆動機に鑑みた場合、今となっては歴史的事実と異なる(かもしれない)内容が作品中に記述されている(かもしれない)ことは、海音寺潮五郎さんの作品評価上、マイナスになることはあっても、決してプラスではありません。 ただ、誤解しないでいただきたいのは、海音寺潮五郎さんの作品中に明らかに誤った記述があると言っているわけではありません。少なくとも私はそうした事例を耳にしたことはありません。 ところで、小説(海音寺潮五郎さんの場合は、多くが歴史小説)の場合は、作品を通して表現しようとする内容が単なる歴史事実の伝達に留まらないため、作品誕生からの時間経過に依らず、その価値がいつまでも色あせないという特徴があります。 例えば、昨年から多くの読者を獲得している『天と地と』については、今ここで私がことごとしく説明するまでもなく、読めば誰にでも分かる魅力を有しています。そして、海音寺潮五郎さんの歴史小説を代表する作品として『二本の銀杏』があり、この作品こそ多くの人に読んで欲しいものなのです。 『二本の銀杏』がいかに魅力的な作品なのかについては、こんな逸話があります。これは文芸評論家の磯貝勝太郎氏が書かれていることですが、ある時、磯貝氏が司馬遼太郎さんに向かって、 「『二本の銀杏』は傑作ですね」 と話をむけたところ、司馬さんは即座に 「名作です」 と返答したとのことです。 なんと、私たちの読書意欲を刺激する逸話ではありませんか!今一度、歴史小説の持つ魅力を再確認したい人には、ぜひ海音寺潮五郎さんの『二本の銀杏』を読んで欲しいものです。
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
「二本の銀杏」、大好きです。 |
Yute 2008/05/17 22:54 |
Yuteさん、こんばんは。 |
モモタ 2008/05/19 21:33 |
僕が言っても何も説得力はありませんが(笑)『二本の銀杏』は傑作です。僕も即座に言いますよ。 |
カマウチヒデキ 2008/05/20 01:36 |
カマウチさん、こんばんは。いつも、ありがとうございます。 |
モモタ 2008/05/20 22:15 |
はじめてコメントさせていただきます。^^ |
かずほ 2008/05/22 00:08 |
かずほさん、こんばんは。はじめまして。 |
モモタ 2008/05/22 21:37 |
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