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help リーダーに追加 RSS テレビ朝日50周年記念ドラマ「天と地と」

<<   作成日時 : 2008/01/12 14:34   >>

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海音寺潮五郎さんの『天と地と』を原作とするドラマがテレビ朝日系列で放映されました。視聴率は10%を少し下回る程度だったようで、注目度は今ひとつという感じもしますが、このブログをご覧になっている方に限れば視聴率50%超え!といったところでしょうか。全般的に悪くない出来だったと思いますが、私が疑問に思うのは、あのドラマは本当に「天と地と」だったのか?という点です。

2時間という限られた時間で海音寺潮五郎さんの『天と地と』をドラマ化する以上、原作から採用するエピソードと削ってしまうエピソードをより分けなければなりません。今回のテレビ朝日のドラマでは、主人公・謙信の幼少期を全く描いていませんでしたが、これはそもそも海音寺潮五郎さんの『天と地と』のコンセプトに反しています。

これは以前このブログでも紹介しましたし、ドラマ放送に間に合うようにとWikipediaにも書き込んだのですが、海音寺潮五郎さんの『天と地と』
 人間の生長していく過程
をテーマとしています。結果的に主人公として上杉謙信が選ばれましたが、謙信を描くことありきだったわけではないのです。
そうした場合、時間的制限という苦しさはあるものの、既に成長した謙信としてドラマがスタートするのは少し違うなというのが、原作ファンたる私の厳しい見方です。
出生の秘密に悩んだり、及美への感情に揺れる謙信だけでは「成長の過程」とは呼べないでしょう。

もう一つ、今回のドラマが真に「天と地と」であるなら、そこに描かれる上杉謙信は海音寺潮五郎さんの言う「高士」でなければならないはずです。これは海音寺潮五郎さんの『日本の名匠』に「高士上杉謙信」として書かれており、この作品は今でも簡単に手に入りますので、みなさんにも読んで頂きたいですが、
 高士とは諸侯や天子よりも上に位置する人間としての至上位である
と説明されています。
平たく表現すると、正義のために戦う義将であり、名誉富貴に流されない姿が真の上杉謙信であると海音寺潮五郎さんは述べているのです。
ドラマではどこまでこれが表現できていたでしょうか?受け取り方は人それぞれだと思いますが、私は不十分だったように思えます。

もう一つ言わせてもらえば、今回のドラマを制作した人々は原作を熟読していないのだろうなと思えました。先に「原作から採用するエピソードと削ってしまうエピソードのより分け」と言いましたが、もし海音寺潮五郎さんの『天と地と』をしっかり読んだのであれば、例えば、桶狭間の戦いに関する部分などは削ってしまえばいいのです。

これは海音寺潮五郎さん自身が説明しているのですが、『天と地と』で桶狭間の戦いに関する記述を盛り込んだのは、後年、上杉謙信が織田信長と対決する決意をし、結果、手取川の戦いつながることの伏線として書いたそうなのです。
しかし、ご存じの通り、『天と地と』ではそこまで書き続けられませんでしたので、ドラマ化の際には不要なエピソードと言えると思います。それを安易に採用しているところからして、原作『天と地と』を知らずにやってしまったのだろうなと思えるのです。

何だか、やはり原作ファンとして文句の方が多くなってしまいましたが、視聴率10%ということはざっくりと500万世帯が視たということです。Amazonのランキングを視ていると原作の『天と地と』もまた売れ出しているようなので、海音寺潮五郎さんにとってはプラスだったと思います。
日本の名匠 (中公文庫)

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